特典航空券の交換に必要なマイル数が年々増加傾向にある中、有償でANA航空券を購入する際に「少しでもお得にならないか」「ポイントサイトを経由してポイントバックを受けられないか」と考えるのは、情報感度の高い消費者にとって当然の思考です。しかし、この問いに対する答えは、あなたが想像するよりも複雑かもしれません。
本記事では、2025年7月現在の最新情報に基づき、「ANA航空券」と「ポイントサイト」の関係性を徹底的に分析。直接の公式サイト経由は可能なのか、そして旅行代理店やパッケージツアーを経由する際の最適ルートはどこにあるのか。その具体的な方法と、知らなければ損をする注意点を、専門家の視点から深く掘り下げていきます。
結論:ANA公式サイトでの航空券単体購入はポイントサイト対象外
まず、多くの方が最も知りたいであろう結論からお伝えします。残念ながら、ANAの公式サイト(ana.co.jp)で航空券を単体で購入する場合、どのポイントサイトを経由してもポイントバックを受けることはできません。
これは、ANAが自社サイトでの直接販売において、ポイントサイトに広告費を支払うというマーケティング戦略をとっていないためです。したがって、「ポイントサイトでANA公式サイトの広告を探して、そこから航空券を買う」というシンプルな方法は存在しないのが現状です。
しかし、ここで諦める必要はありません。視点を変え、「どこで」「何を」購入するかを工夫することで、間接的にポイントバックを実現し、実質的にANA航空券をお得に手に入れる道が拓かれます。
ANA利用でポイントを獲得する2つの迂回戦略
ANA公式サイトからの直接購入が対象外である以上、我々が取るべき戦略は「ポイントサイトの広告掲載がある、他の旅行予約サイトやサービスを利用する」ことです。具体的には、以下の2つのアプローチが極めて有効です。
戦略1:「ANAトラベラーズ」のパッケージツアーを狙う
「ANAトラベラーズ」は、ANAが提供する航空券と宿泊がセットになったダイナミックパッケージ(ツアー商品)です。この「ANAトラベラーズ」は、一部のポイントサイトで広告案件として扱われています。
ポイントサイト | ANAトラベラーズ還元率(目安) | 特徴 |
---|---|---|
楽天リーベイツ | 1.0%~4.0% | 楽天ポイントで還元される。還元率はレンタカーや国内ツアーなど対象商品によって変動。常に最新の料率を確認する必要がある。 |
ポイントタウン | 定額(例:海外2,000円分) | 還元率が固定の場合がある。旅行代金によっては、率で還元されるリーベイツより有利になるケースも。 |
分析結果:
航空券と宿泊を同時に予約する予定がある場合、この「ANAトラベラーズ」をポイントサイト経由で利用するのが最も合理的です。例えば、20万円のパッケージツアーを楽天リーベイツ経由(1.0%還元と仮定)で申し込めば、2,000円相当の楽天ポイントが獲得できます。航空券単体での購入に固執せず、旅行全体の予約方法を見直すことが、ポイント獲得の鍵となります。
戦略2:ポイントサイト経由で「旅行代理店サイト」から購入する
もう一つの有力な戦略は、ポイントサイトと提携しているオンライン旅行代理店(OTA)でANA便の航空券を予約することです。
予約サイト(ポイントサイト経由) | 還元率(目安) | 特徴 |
---|---|---|
楽天トラベル | 1.0% | ハピタスやモッピー経由で1.0%のポイント+楽天トラベル利用で1.0%の楽天ポイントが貯まる。ポイントの二重取りが可能。 |
じゃらん | 0.5%~1.0% | こちらも主要ポイントサイトで案件あり。Pontaポイントが貯まる・使える。リクルートカード利用者には特に有利。 |
エクスペディア、Trip.com等 | 0.5%~2.0% | 外資系のOTA。セールやクーポンが豊富だが、手数料やサポート体制は国内系と異なる場合があるため注意が必要。 |
分析結果:
特に「楽天トラベル」は、ポイントサイトのポイントと楽天自体のポイントを二重取りできるため、非常に強力な選択肢です。例えば、モッピー(1.0%)経由で楽天トラベルを利用し、10万円のANA航空券を購入した場合、「モッピーで1,000ポイント」+「楽天トラベルで1,000楽天ポイント」の合計2,000円相当のポイントが獲得できます。
ポイント獲得を最大化するための具体的なアクション手順
では、実際にポイントを獲得するためには、どのように行動すれば良いのでしょうか。ここでは「楽天トラベル」を例に、具体的なステップを示します。
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ステップ1:利用するポイントサイトに登録する
ハピタスやモッピーなど、信頼できる主要ポイントサイトに登録します。 -
ステップ2:ポイントサイト内で「楽天トラベル」を検索
ログイン後、サイト内検索で「楽天トラベル」と入力し、広告案件ページに移動します。 -
ステップ3:「ポイントを貯める」ボタンから楽天トラベル公式サイトへ
これが最も重要なプロセスです。必ずこのボタンをクリックして、楽天トラベルのサイトに移動してください。この操作により、あなたの行動がポイントサイト経由であると認識されます。 -
ステップ4:楽天トラベルでANA航空券を予約・購入する
遷移後は、寄り道をせずにそのまま航空券の予約・購入手続きを完了させます。 -
ステップ5:ポイントの付与を待つ
購入後、ポイントサイトの通帳に「判定中」と記録され、旅行完了後(または航空券の発券後)の1~3ヶ月程度でポイントが正式に承認されます。
航空券予約でポイントサイトを利用する際の重要注意点
この戦略は非常に有効ですが、いくつか知っておくべき重要な注意点があります。これらを見落とすと、期待したポイントが得られないだけでなく、思わぬ不利益を被る可能性もあります。
- ポイント却下条件の確認: 各広告案件には、「キャンセル、虚偽、いたずら」といった基本的なものに加え、「アプリ経由での申し込みは対象外」など、特有の却下条件が定められています。必ず事前に熟読してください。
- マイル積算率の確認: 旅行代理店経由で購入した航空券は、ANA公式サイトで直接購入した場合とマイルの積算率が異なる(低い)予約クラスになることがあります。特に、マイルやプレミアムポイントを貯めることを主目的とする「修行僧」の方は、この点を最も注意深く確認する必要があります。
- 手数料の存在: 一部の旅行代理店サイトでは、航空券代金とは別に、独自の予約手数料や取扱手数料が上乗せされる場合があります。ポイント還元分以上に手数料がかかってしまっては本末転倒です。最終的な支払い総額を必ず比較検討してください。
- 予約の管理・変更・キャンセル: 代理店経由で予約した場合、予約内容の確認や変更、キャンセルといった手続きは、ANAではなくその代理店に対して行う必要があります。サポート体制や対応スピードは代理店によって異なるため、その点も考慮に入れておくべきでしょう。
まとめ:航空券単体ではなく、「予約方法」全体を最適化する視点
ANA航空券の購入において、ポイントサイトを直接活用する道は閉ざされています。しかし、そこで思考を停止させてはいけません。
「どこで予約するか」という視点を持ち、ANAトラベラーズのパッケージツアーや、楽天トラベルのようなオンライン旅行代理店をポイントサイト経由で利用すること。これが、2025年現在の市場における、最も賢明で現実的な最適解です。
航空券の価格だけでなく、宿泊費や各種手数料、そして得られるポイントの総額までを俯瞰し、旅行全体の費用対効果を最大化する。この総合的な視点こそが、これからの旅行計画において、他者との差を生む決定的な要因となるでしょう。
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